ぱのこめの生活

20代のゲイ。主に、日々の生活や趣味などについて書きます。

学生セクマイサークルの経験と所感

どうも、ぱのこめです。

今日はいわゆる「学生セクマイサークル」における自分の経験と、それに対する所感を述べたいと思います。

 

 

◎自分の経験

私は2つの学生セクマイサークルの運営代表を務めたことがあります。そのどちらも、「セクシュアルマイノリティ当事者の学生が交流すること」を目的としたサークルです。

一つはインカレのサークル(Aサークルとする)で100名以上が加入している大規模なものです。

もう一つは、自分の大学内だけで閉じている、30名弱くらいの小規模なサークル(Bサークルとする)です。

 

 

Aサークルに入ったのは大学1年の5月です。高校生の頃から存在を知っていて、参加したいと思っていました。

4月に行われていた新歓イベントへ行き、そこでたくさんのセクシュアルマイノリティ学生と出会いました。その時、なんだか、とても救われたような気持ちになったことを覚えています。

そのままサークルへ加入して、定期的にイベントに参加したり、そこで仲良くなった人たちと遊んだりして楽しい日々を過ごしました。前の彼氏も今の彼氏も出会ったのはAサークルだったので、そういう意味では色々感謝しています笑

 

もちろん、いつまでも新入生扱いを受けるわけではありません。学年が上がるにつれて新入生を歓迎する側になり、大学3年生になるとついにサークルを運営する幹事学年になりました。

本来ならAサークルの本拠地として登録されている大学の学生が幹事をやるべきなのですが、私の同期は人数が少なく、適任者がいなかったため例外的に私が担当することになりました。

そんな経緯でAサークルの代表を1年間務め、今年の1月に役割を終えました。運営は大変な面もあったけれど、色々な人と関われたり、いろんな経験を積めたことは今後の糧になるかなと思います。

 

 

Bサークルに入ったのは大学2年の秋です。正確に言うと、大学2年の秋に友人と一緒にBサークルを創設しました。

キッカケは、一橋大学ロースクールで起きた自死事件です。夏休み中にそのニュースが流れて、とてもショックを受けました。

その時に、自分の大学でも同じように苦しんでいる人がいるなら、少しでもその支えになればよいと思ってBサークルを創設しました。

現在は、当初想定していたよりも人数が集まり、毎週ランチ会を行なったりしてボチボチ活動しています。

 

 

◎セクマイサークルに対する所感

セクマイサークルへ所属していて思ったことは、3つあります。

 

★1つ目: 「セクシュアルマイノリティ」という大きな括り

1つ目は、「セクシュアルマイノリティ」という大きなくくりで結びつくことは非常に難しいということです。

 

セクシュアルマイノリティと一口に言っても、ゲイ、レズビアンバイセクシュアル、トランスジェンダーを始め、アセクシュアルノンセクシュアル、Xジェンダー...など、多様なセクシュアリティが存在します。

セクマイサークルは、これらの多様なセクシュアリティが共存するサークルを目指します。簡単に言うと、「ノンケ」以外全員おっけーみたいな感じですね。

このような多様なセクシュアリティの人々が多様なニーズを満たそうと一つのサークルへ参加してくるため、その調整が非常に難しいと感じました。

 

一つ具体例を出すと、同じセクシュアリティの人たちは同じセクシュアリティの人たちで固まる傾向があります。同じような特性を持っている人の方が話しやすい、仲良くなりやすいというのは、多くの人に共通するのではないでしょうか。

Aサークルではゲイが圧倒的多数を占めているのですが、ゲイの人たちが集まって話すとなると、日頃の生活では話せないような恋愛話やセックスに関するものになりがちです。

そうなった時に、恋愛感情や性的欲求を持たないようなアセクシュアルの人たちは会話に混ざりづらくなります。もしこのような会話に無理して混ざるのであれば、日常の「ノンケ社会」で話を合わせるのとなんら変わらないことになってしまいます。

この場合は、ゲイの人たちの「日頃は話せないような恋愛話・セックス話がしたい」というニーズと、アセクシュアルの人たちの「日常に染み渡っている恋愛話・セックス話から逃れたい」というニーズが対立していることになります。

 

以上の具体例は少し極端な場合で、実際はもう少し配慮して無難な話題を取り扱うことが多いです。

その一方で、やはりゲイ・バイ・レズビアンの人の比率が高く、その人たちの結びつきが強いことから、それ以外の「少数派」の人々は肩身の狭い思いをしていると聞きます。実際、サークルを抜ける割合も高いです。

 

これらの経験から、「セクシュアルマイノリティ」という括りの中での結びつきは、社会的な運動をする場合を除いて、少し難しいものがあると思いました。

中には「セクシュアルマイノリティ」という括りで結びつくことが出来ている団体も存在するとは思いますが、おそらくその場合はセクシュアリティ以外の面での結びつきが強いんだと思います。この話は、2つ目の感想と強い関係があるので、以下で詳しく話します。

 

★2つ目: サークル活動の軸

2つ目は、セクシュアリティはサークル活動の軸にならないということです。

 

私が所属していたAサークルは、「セクシュアルマイノリティの学生同士が交流すること」を目的としていたサークルでした。

しかし、実際の活動はいわゆる「イベントサークル」となんら変わらないものでした。具体的に言うと、毎月色々なイベントを行って、みんなでワイワイ楽しもう!みたいな趣旨のサークルです。

 

私は初め、「セクシュアルマイノリティの人たちと出会う」ということを目的にAサークルへ参加していました。

しかし、長くサークルに所属すればするほど「日々の活動はあくまで『イベント』であり、イベントを楽しいと思わないと馴染めない」ということを思い知らされます。

私は「イベントサークル」というものとの相性がとても悪かったので、長く所属すればするほど「自分にはこのサークルは向いてないな」と意識するようになりました。「ただ遊ぶだけなら、自分の仲良い人だけ誘って遊べば良くね?」って思っちゃうタイプの人間でした。(社交性がない)

 

また、このような漠然とした活動内容のサークルは、他の参加者との共通の話題を探すのにすごい苦労します。

「『学生』って共通点があるじゃん!」って思う方がいるかもしれませんが、『社会人』って共通点だけではそこまで仲良くなれないのと多分同じだと思います。

あと私の経験上、共通点がセクシュアリティだけの場合は、絶対仲良くなれないです。サークルでたくさんのセクシュアルマイノリティの人と出会って、結局性格とか相性の方が大切だと思いしらされました。

 

結局、趣味とか好きなことで共通点がある方が仲良くなりやすいし、話も盛り上がると思います。

そういう意味では、読書とか料理とかスポーツとかの、趣味を活動の軸に置いているサークルは結構いいんじゃないかなって思います。

 

以上の経験から、「ゲイ初心者の人がサークルに入る」みたいな場合は活動内容などは考えなくてもいいかもしれませんが、長期的にサークルで活動しようと思っている場合は、活動内容もある程度重視した方がいいと思いました。

今思うとすごく当たり前なことなんですけど、これが分かるまですごい時間がかかってしまいました。

 

★3つ目: サークルの必要性

3つ目は、サークルの運営者は、そのサークルが存在することを必要としている必要があるということです。

 

小規模な団体では代表者の力が強烈に強くて、その人のやる気次第でサークル全体の雰囲気が変わるということを感じました。

運営に携わらず、ただサークルに参加している人たちは、客の気分で参加している人がほとんどだと思います。「一緒にサークルを作り上げる」みたいなメンタリティの人はほとんどいないように感じました。

 

そうなってくると、代表者が気合を入れて運営しないと、サークルは衰退していく一方になります。組織が小さければ小さいほど、やる気の無さはメンバーにすぐ伝わるので、すぐ活気が無くなります。

設立者が二人以上いる場合は分担したり、片方のモチベーションが下がっている時にもう片方が頑張る、みたいな分担もできるのかなって思います。

あとは、サークル内で役職を作ったり仕事を分担したりして、運営側だという自覚を持たせたり、業務を通じて帰属意識を強めたりすることも効果的だと思います。

 

しかし、最も大切なことは「運営者がそのサークルを必要としていること」だと思います。

「自分のサークルを一番必要としているのが、運営者自身である」状態だと、サークルの存続=自分のメリットになるので、

積極的に運営する→サークルが活性化する→運営のモチベーションが上がる

と行った感じで、良いサイクルが回るようになると思います。

 

一方で、「このサークルは自分にはあまり必要ないな」って思った瞬間に、サークルを運営することが一気に面倒臭く思うようになります。

すると、サークル全体が盛り上がらなくなって、参加者も減り、さらにサークルの雰囲気が悪くなり....悪循環に囚われて、最終的にはサークルの衰退につながると思います。

 

実は、私はサークルをこの悪循環に陥らせてしまった結果、衰退させてしまいました。今はまだ潰れていませんが、おそらくあと5、6年で活動休止のような状態までいってしまうのではないでしょうか。

俺のことを知っていてこれを読んでくれている人がいたら、本当ごめんなさい。

 

とにかく、運営者の方自身がサークルを必要とし続けている間は、そのサークルは安泰なんじゃないかと思います。

ですが、運営者も人間なので、飽きたり、面倒臭くなったり、サークルから気持ちが離れたりすることはあると思います。

そんなときは、ぜひ周りの参加している人が支えてあげて下さい。参加者はただのお客さんなのではなく、共にサークルを運営し、活性化させていく存在なのだと思います。

 

 

以上、今回はすごく長く書きました。

自分のゲイとしての生活はまだ4年くらいしか無くて、そのほとんどがセクシュアルマイノリティサークルでのものです。

なので、自分にとっては重要な存在である一方で、長く関わっているからこそ思うこともたくさんありました。

すごい殴り書きみたいになっちゃいましたけど、思っていたことは大体言えたような気がします。

 

ここまでネガティブなことも色々書いてきましたが、一方で私がサークルに入って救われたことは事実です。

今では社会人のサークルもいっぱいあるし、新しいコミュニティが欲しいって人に、サークルはオススメです!ぜひ自分にあったサークルを探してみてください。

 

最後に、運営者の方は、大変なこともあると思いますが、頑張ってください。皆さんのサークルが繁栄し続けることを願っています。

 

偉そうに語ってすいません。ここまで読んでくださってありがとうございました。

 

それでは、また。