ぱのこめの生活

20代のゲイ。主に、日々の生活や趣味などについて書きます。

私がゲイをカミングアウト出来ない理由

どうも、ぱのこめです。

私は自分が男性を好きであることを自覚してから10年くらいの期間が経っているので、現在ではゲイであることにまあまあ慣れて(?)います。

それに加えて、現在はゲイであることで、どうしようもないほどの不便を感じているというわけでもないので、今まではあまり、ノンケ社会との摩擦について熱量を持って記事を書いたりはしていませんでした。

 

しかし最近、直近にゲイデビューした方のブログを読む機会が多くて、それに感化されて、今まであんまり書いてこなかった基本的な問題に立ち返ってみるのもいいかなと思いました。

 

 

そこで今日は、私のカミングアウトに関する経験と、カミングアウトという行為に対する今の思いについて書こうと思います。

12年分くらいの過去の話を書いたら文章がとても長くなってしまったので、適当に流しながら読んでください笑

 

ちなみに、過去には「ゲイをいつ自覚したか?」というテーマで記事を書いたことがあります。

今回の記事はその記事と内容が被る部分もあるので、もし興味があったらそっちも読んでみてください。

 

panocomet.hatenablog.com

 

 

◎中学時代のカミングアウト経験について

私が一番最初にカミングアウトをしたのは、中学3年の冬のことです。

 

中学2年の頃から自分のセクシュアリティに疑問を持ち始めていた私は、中学3年の卒業式が終わった夜に両親と妹に対して、自分がバイセクシュアルであることをカミングアウトしました。

今考えるとマジで意味が分かりませんが、一応当時の私がカミングアウトに至った考えは「大人になればなるほど言いづらくなりそうだから、早いうちに言っておこう。それなら、一つの区切りである中学卒業のタイミングで言おう」というものでした。

ちなみに今の私のセクシュアリティはゲイですが、中学~高校の頃は自分のことをバイセクシュアルだと思っていました。なので、カミングアウトもすべて「バイセクシュアルである」と言っています。 

 

 

言う時はすごく、ものすごく緊張していたので、その時の親の反応はほとんど覚えていません。

たしか、私の話を最後まで聞いてくれて、「なんでそう思うの?」みたいなことを質問してきたような気がします。

あと、妹には「ゲイって言われたら気持ち悪いと思うけど、バイならまあいいんじゃない。」みたいなことを言われたような気がします。

 

というわけで、私の一番最初のカミングアウトは親(ついでに妹)に対してのものでした。

私の友人の場合だと、「同性の同級生を好きになって、告白するタイミングでカミングアウトする」パターンのカミングアウト初体験が一番多いような気がします。

なので、そういう人と比べるとちょっと異質なものかもしれません笑

 

カミングアウト後はどうなったのかというと、良い意味でも悪い意味でも何も変化はありませんでした。

具体的には、その後バイであることについて言及されることは無かったし、それについて咎められたり勘当されたり(現代であるのかは知らない)ってこともありませんでした。

でもその一方で、親の対応が良い方向に変化することもなく、相変わらず「彼女はいないの?」とか「好きな人はいないの?」みたいな質問が高校卒業まで続くことになります。

 

 

◎高校時代のカミングアウト経験について

高校時代は、高校1年生の秋に、同級生5人に対してバイセクシュアルであることをカミングアウトしました。

カミングアウトしたのは同じクラスの私含む仲良し6人組のメンバーで男子3人、女子3人のグループでした。

 

カミングアウトした理由については、相手がカミングアウトを受け入れてくれると思ったからです。

当時の私は勉強が得意で県内トップ校に通っていたのですが、勝手に「頭がいい人は差別しない=カミングアウトしても受け入れてくれる」と思ってました。

今の私ではこの考え方は全く理解できないので、とりあえず若気の至りということで納得してください笑

 

とにかく、当時の私はそういう自分に都合の良い考えを持っていて、さらにその5人とはすごく仲良くしていた(と私は思っていた)ので、カミングアウトしても絶対に受け入れてくれるだろうという謎の自信がありました。

そのため、夏休み明けにある前期の期末試験のテスト週間(2学期制だったため9月の頭に試験がある)に5人に対してカミングアウトをしました。

 

カミングアウトしたタイミングは、テストが午前中で終わった放課後、教室に残って私含む6人で次の日の試験の勉強をしていた時です。夏の16時前くらいでまだ明るい時間帯だった気がします。

受け入れてもらえるという謎の自信はあったものの、やっぱりカミングアウトするときはドキドキしながら話しました。

 

カミングアウトした時の相手のリアクションは詳しくは覚えてないのですが、「ふーん、そうなんだ。」みたいな感じだったと思います。

感動的な展開とかを期待していたのでちょっとガッカリしました。

洋画がめちゃ好きでGleeとかRentとかを見ていて、ゲイに耐性があった(?)男の友人だけは「言ってくれてありがとう」って言ってくれたのはハッキリ覚えています。

 

カミングアウトした後にどうなったかというと、家族にカミングアウトした時と同じで、良い意味でも悪い意味でも何も変わりませんでした。

良い意味としては、そのカミングアウト以降も私たちはクラス替えがあるまで仲良し6人グループで行動していました。

多分その5人は他の人に私がバイであるとばらしていないし、それで差別してきたり馬鹿にしてきたりすることも全くありませんでした。

 

悪い意味で変わらなかったことの具体例は、「クラスでどの女子が好きか」トークが無くならなかったことです。

もしバイセクシュアルであることを完全に理解してくれたのであれば「クラスでどの男子が好きか」トークをしても良いような気もします。

しかし、そういう話の振り方は一切なかったし、女子と好きな男子について恋バナする的なものも一切ありませんでした。

 

まあ、これについては私がバイセクシュアルとカミングアウトしたのも問題かもしれません。

やっぱりゲイとバイだと受ける印象も違うし、対応が変わらなかったこともまあ納得できなくはないです。

 

でも、この経験で何も変わらないと知った私は、その後にゲイの同級生から襲われる(?)などの出来事もあいまって、もうカミングアウトはしなくていいやってなりました。

そのため、高校時代にそれ以降カミングアウトをすることはありませんでした。

 

 

◎大学時代のカミングアウト経験について

 大学に入ってからは、すぐに大きめなセクシュアルマイノリティサークルに入りました。

なので、周囲にゲイの人たちがたくさんいて、次第に自分のセクシュアリティもゲイであるという自覚が強くなっていきました。

その頃にはもうノンケ社会に埋没することにもぼちぼち程度慣れつつあったし、感覚もまあまあ麻痺していたので、別に恋愛やセックスの話はゲイの人たちとやればいいやってことで、大学のノンケ友達にカミングアウトしようとは一切思いませんでした。

 

そんな中で起きたカミングアウトは、まさかの母親に対するものでした。

大学1年の夏休み中に起きたもので、母親にとっては4年ぶり2回目です。

 

セクシュアルマイノリティサークルでフリーペーパーを作ることになり、そのための編集ソフトを私の母親が持っていたので、それを貸りて作業をすることになりました。

そこで、貸してくれるように母親にお願いしたら「何のために使うの?」と聞かれました。

今振り返るとそんな質問が来ることくらい容易に想定できたはずなのですが、当時の私にとっては予想外の質問過ぎてしどろもどろになり、「何に使うかは言えないけど、とりあえず貸してほしい」とかいう、訳の分からない返事をしてしまいました。

 

そんな意味不明な返事をする息子に対して、母親は「宗教関係の団体に入っているのか?」と聞いてきました。

「さすがに違うよ」と私が笑って答えると、「じゃあセクシュアルマイノリティサークルでしょ?」と言ってきました。

 

実は、母親は中学3年の時に私がカミングアウトしたことを覚えていて、一応気にかけていたらしいです。

面と向かってそんなことを聞かれた私は、「まあもう隠すのも変だし言ってもいいか」って思って母親に対して2回目のカミングアウトをしました。

内容としてはセクシュアルマイノリティサークルに入っていることと、ゲイであることです。

 

母親としては少し衝撃があったのでしょう。その日はそれだけ伝えて、ソフトを渡してもらって解散になりました。

私としては自分の中学時代のカミングアウトは無かったことにされていると思っていたので、覚えていてくれたのは結構嬉しかったです。

実際、同じセクマイサークルの友人に対して母親へカミングアウトできたことを伝え、夜遅くまで電話で盛り上がったことを覚えています。

 

ですが、そんな喜びも次の日の朝にぶち壊されました。

次の日の朝、目を覚ますと母親からこんなLINEがきていました。

「姉と妹の結婚に影響が出ると困るから他の人には言わないでほしい。」

「将来的には海外に行って生活するといい。」

 

このメッセージに対して感じるものは人それぞれだと思います。

まあ最大限良い方に解釈するのであれば、母親なりの私に対する心配とか優しさのようなものからこの発言が出たと言えるかもしれません。

ですが、当時の私はこのメッセージを読んで、母親から邪魔者として突き放されたような感覚を覚えて非常に悲しかったです。

 

それ以降、母親とゲイに関する話は一切していません。

なので、今は私でも私のことをゲイだと思っているのか、それともいつかは結婚すると思ってるのか、そこらへんのところは全く分かりません。

でも、カミングアウトして良かったこととしては、そのカミングアウト以降、母親から「彼女はいるのか?」「好きな人はいないのか?」のような質問が飛んでくることは無くなりました。

あと、今までは友達と遊んだり、泊まったりするときには、誰と遊ぶのかをいちいち言わないといけなかったのですが、そのカミングアウト以降は全く聞いてこなくなりました。

 

 

◎カミングアウトに対して思うこと

長くなりましたが、私のカミングアウト経験は以上のような感じです。

読んでいただいたら分かる通り、私はあんまりカミングアウトに良い経験がありません。

 なので、私の経験上では、「カミングアウトしてから友達ともっと仲良くなれた!」とか「カミングアウトして人生が楽しくなった!」とか、そんなことは全くありません。

どちらかというと、カミングアウトでこっちはめちゃくちゃ多大なコストを支払っているのに、カミングアウトしても何も現状が変わらずリターンが無いから、ただ損をしているだけって感じになっちゃっています。

 

もちろん、私の上記のようなスタンスに対して批判があることは十分理解しているつもりです。

例えば、「カミングアウトはそれが終わりではなくてそこから新しい関係が始まるものだから、カミングアウトすることによるリターンを得るためには以降もコミュニケーションをとり続けないといけない」とかって批判もあるかなって思います。

もちろんそれも理解してるつもりだし、ゲイであることに理解を示してもらいたいなら自分から動き続けないといけないっていうのも分かります。(まあ、そういう社会も少し悲しいとは思いますが)

 

でも、それってめちゃくちゃ疲れるんですよね・・・。

私にとってはカミングアウトってだけで心理的に結構負荷がかかるのに、無知ゆえの差別とか批判とかしてくる人と真面目にコミュニケーションとるのなんてぶっちゃけめんどくさいです。

 

それに加えて、ノンケとして埋没して生きることに慣れてしまうと、ノンケ社会に埋没するコストがどんどん下がっていきます。

その結果、「(ノンケ社会に埋没するリターン)ー(ノンケ社会に埋没するコスト) < (ゲイであることを理解してもらうリターン)-(ゲイであることを理解してもらうコスト)」になってしまい、結果としてカミングアウトするインセンティブがなくなってるって感じです。

 

 

あと、私がカミングアウトを出来ない理由がもう一つあって、それは「カミングアウトすることで結果として自分が相手に幻滅してしまい、自ら関係を切ってしまう」からです。

 

私の場合、カミングアウトすると相手に対して自分をゲイとして扱うことを期待してしまいます。

こっちとしては勇気を出してカミングアウトしてるし、実際相手にとっても「私=ゲイ」と認識に変化が起きるので、対応が変わるのを期待すること自体はまあそんなに変じゃないかなって思います。

でも私の今までの経験では、大体相手の対応は何も変わらなくて、今まで通り異性愛者みたいに扱われることばかりでした。

 

そうなると、単純に自分の期待を裏切られるので、相手に対してネガティブな印象を持ってしまうんですよね。

そして、ネガティブな印象を持つと自分にとっての相手の魅力が下がって、関係性を保つモチベーションが下がってしまい、結果として疎遠になってしまうみたいなことが私の場合は起きてしまいます。

 

実際、高校1年の時に仲良しグループだった人たちとは全く連絡を取っていません。

もちろん、高2以降にクラスが違ったとか色々要因はあるのですが、正直自分は今どんな顔して会えばいいか分からないし、カミングアウトの過去を無かったことのように振舞われるのも悲しいので全く会う気が起きません。

 

こんなふうに、相手に対して勝手に期待して、勝手に幻滅して、自分から離れることになるのは、けっこう悲しいし、嫌なんですよね。

そういう意味では、ゲイだってカミングアウトしなければ、相手がホモネタとか彼女ネタとかを振ってきても「自分がカミングアウトしてないから悪いんだ」って自分のせいに出来て気が楽です。

つまり、カミングアウトして相手から拒否されるのが怖いというよりは、自分の相手に対する期待とか態度とかが変わってしまうことが怖くて、それがカミングアウト出来ない原因になってると思います。

 

 

とまあ、ここまでカミングアウトについてネガティブな話ばっかり書いてきましたが、じゃあカミングアウトしたくないのかって言うと、私はまったくそんなことないです。

ノンケ社会で埋没して生きていくよりも、ゲイとして自分を受け入れてもらえる状態で生活している方が絶対に幸福だし、楽しいし、生きやすいと思います。

実際、ゲイがゲイ同士で固まるのってそういうことなんじゃないかなって思います。(気のせいだったらごめんなさい)

 

でも、私の場合はカミングアウトの成功体験が無いからするのが怖いです。

あと、変にコストがかかってめんどくさいです。

さらに、どちらかというと上手くノンケ社会に埋没出来るタイプだから切羽詰まっていないです。

・・・という、色々な要因が相まった結果として、私の現在のようなスタンスになってしまいました。

 

とはいっても、社会人になったら今の彼氏と同棲を始めようと思っているので、そのタイミングでは改めて家族にカミングアウトしようかなって思っています。

なので、タイミングとしてはこれから1年以内の出来事になると思います。

一応経済的にも自立できる予定なので、もし家族との関係が悪化しても縁切っちゃえばいいのですが・・・

まあ、出来れば上手く良い方に転がってほしいかなって思ってます。

 

 

以上、カミングアウトに関する話でした。

色々書いてきましたが、これは全部現在の気持ちであって、環境とか状況によって変化していくものだと思います。

なので、将来の私のスタンスがこの記事からぶれていったとしても、温かい目で見守ってください笑

 

長々と書いてしまいましたが、ここまで読んでいただきありがとうございました!

それでは、また。